SS 魔理沙と変わりゆく幻想郷

何故か魔理沙主体のSSになってしまった。
りどもあからどうぞ



「ひゅ~、今日もいい天気だぜ!」
晴れ渡った幻想郷の空を箒で飛びながら魔理沙は叫んだ。
「こういう日はあいつを外に連れ出してやらねーとな!」
あいつ、とは彼女の親友である人形師アリス・マーガトロイドのことである。
もともとアリスに話したいことがあってアリスに会いに向かっていたのだが
心地よい陽気と澄み切った空を見ているうちにアリスと一緒に散歩でもしようと思いついたのだ。
実は魔理沙は何ヶ月もアリスに会っていなかった。
月面調査の事故で負った傷を癒すためにアリスは絶対安静を命じられたと聞き
魔理沙なりに考えた結果、しばらく会うことを控えていたのだ。
たとえ気を付けていても、暴走しがちな自分だ。
もしかしたら何かのノリかはずみかでアリスの怪我を悪化させては申し訳ないと思ったのだ。
アリスの家のある森の上空に差し掛かり魔理沙は箒を傾け徐々に降下し始めた。
空を飛んでいては深い森の中にあるアリスの家を見つけることが出来ないからだ。

「お、なんでここにうどんげがいるんだ?」
森の中で普段は見かけない人物が歩いているのを魔理沙は見つけた。
うどんげ…鈴仙・優曇華院・因幡という名前のウサギ耳を持つ少女である。
彼女は普段は迷いの竹林にある永遠亭におり、
たまに薬を売るために人里に現れることはあってもこの森に訪れることはないはずである。
「あの薬師がなにか企んでるのか…?」
鈴仙の師匠に当たる薬師、八意永琳の関与を疑いつつしばらく考え込んでみたが、
情報の少ない今の魔理沙には答えが見つからなかった。
「ま、アリスの家に行ったらなにかわかるかもな」
そう自己完結し、アリスの家へ再び歩き出した。

アリスの家に到着した魔理沙を待っていたのは、小さな人形であった。
アリスが最も気に入っているとされる人形、上海人形だ。
いつもアリスが操っているのを見ているのでそれ自体は何ら珍しいことではない。
しかし、その人形は魔理沙の行く手…アリスの家の入口を塞いでいた。
「どけよ」
魔理沙が言う。
「身元の分からない者を通してはダメといわれたわ」
人形は静かにそう言った。
はて、おかしいな。魔理沙は考えた。
昔アリスが人形を喋らせたことがあった。
といっても実際はアリスの腹話術で、
その時はアリスの演技の巧さに驚いたものだった。
しかし、この人形から発せられる声はアリスのものではない。
声色を変えたとしても無理だ。完全に別人の声だった。
それに、この人形は自分を知らないらしい。
仮にも、アリスの一番の親友だと思っている魔理沙のことをだ。
考えられる事は二つ。この人形は意思を持って生きている…?
いやまさか、そんなバカな。どうせ何かのトリックがあるのだろう。
「だぁーっ!もうめんどくせぇ、弾幕で勝負だ!」
「私でよければ相手になるわ」
人形は承諾した。
魔理沙は考えたのだ。
この人形はアリスがどこか影から操っていて
自分をからかうためにアリスがいろんな工夫をして
まるで人形が生きているかのように見せているだけなのだ、と。
アリスの使う弾幕と、その避け方は親友である自分がいちばん知っている。
たとえ新作のスペルカードを作っていたとしても
アリスの癖は把握している。初見でも余裕だろう。
ここでこの人形に少し痛い目を見せてやればどこかからアリスが出てきて
謝って種明かしをすると魔理沙は考えた。

「魔符「スターダストレヴァリエ」!!」
魔理沙はスペルカードを取り出し、発動させる。
まずは小手調べ、遠隔操作の人形でどこまでよけられるかを見るのだ。
魔理沙から放射される無数の星型の弾幕を、人形はスイスイとよけていく。
が、魔理沙はうろたえなかった。
今のは自分が手始めに一番よく使うスペルカード。
避けられて当然、もし避けられなければアリスの腕が衰えているだけだ。
魔理沙のスペルカードを避け切った人形は、スペルカードを懐から取り出した。
「性符「神殺しの回転刃」」
無数の、魔理沙の見たことのない形をした刃物が人形から放たれる。
「うおおっ!?」
紙一重でかわしていく魔理沙。その顔には焦りの色が見える。
ギュインギュインと唸りを上げて飛んでくる刃物の弾幕。
その軌道はアリスの作るスペルカードのどれにも無いものだった。
この人形、かなり手が込んでるな。魔理沙は思った。
「だが、こいつはよけられねえだろ!くらえ、恋符「マスタースパー…」
八卦炉を構えスペルカードを発動させようとしたその瞬間、
「父符「ドリルダッシュ」」
スペルカードを発動させ一瞬で間合いを詰めた人形の持つドリルによって八卦炉が弾かれ手から離れる。
人形は衝撃で倒れた魔理沙の首筋にドリルを当てながら魔理沙の落とした八卦炉を広い魔理沙に向けた。
「チェックメイト、ね」
人形はニッコリと微笑むと静かに勝利宣言をした。

「どうしたの、なにか大きな音がしたけど…」
アリスが外から聞こえてくる物音に気がつき外へ出てみると
人形が魔理沙の首筋にドリルを向け八卦炉を構えていた。
「あ、シャン、彼女は私の友人の魔理沙よ。離してあげなさい」
「え、そうだったの?ごめんなさい、私知らなくて…」
アリスと、シャンと呼ばれた人形が会話をするのを見て開放された魔理沙は目を点にした。

確かに、アリスは魔理沙の予想した通り謝って種明かしを始めた。
しかし、その種は魔理沙の予想とはかけ離れていた。
「この子はシャン、私が作った自立思考の人形よ」
「噂に聞いていたが…完成していたのか」
目の前でお辞儀をするシャンを見ながら魔理沙は部屋のソファに腰掛ける。
「この前の月面調査の移動中に作ったの」
「へ~ぇ、それはよかったな…だがひとつ聞いていいか?」
魔理沙は大きく息を吸い、そして叫んだ。
「なんでうどんげがアリスの家にいるんだよ!!?」
魔理沙の隣のソファでは鈴仙が座って紅茶を飲んでいた。

「私がいちゃ悪いかしら?」
鈴仙は冷静な顔で言う。
「別に悪いことはないんだが、少々場違いじゃないか?
それにうどんげが顔パスで私が一苦労ってのもおかしくないか?」
魔理沙はポリポリと頭をかく。
なんというか、しばらく会わないうちにアリスの周辺の環境は
ごろっと変わってしまっていたようだ。
あんまりツッコミを入れて墓穴を掘るのも嫌なので魔理沙は少し様子をみることにした。
「私はシャンと少し話したいことがあただけだからもう帰るけど」
鈴仙が席を立つ。
アリスじゃなくて人形目当てとはなかなか変わったやつだなあ。
魔理沙はそう思いながら去っていく鈴仙の後ろ姿をじっと見つめていた。
「ねぇ、ママお客さん帰ったの?」
そんな時だった。部屋の奥から可愛らしい女の子が出てきてそう言ったのは。
「ま、ママ!?」
その場の空気が凍りついた。

魔理沙の頭の中で大人向け同人誌と呼ばれる漫画の内容のような光景が浮かぶ。
「まさか…アリスいつのまに」
顔を真赤にしながら叫ぶ魔理沙を見て、アリスは魔理沙が大変な勘違いをしていると気づき叫んだ。
「違うわよ!!養子よ養子!!」
「ようしぃ?」
アリスは女の子を抱き上げながら説明を始めた。
「神綺って覚えてる?私のお母さんのことよ。
私が幻想郷に住み着いたあともう一人私を作ったらしいのよ。
いうなればこの子は二世ってところね。
その二世を育てていた魔界人の夫婦が事故で亡くなったらしくて
この前の魔界とつながったときにお母さんに頼まれて私が引き取ることになったのよ。」
「へぇ~え」
アリスの慌てながらのいびつな説明に半ば信じていないような顔をする魔理沙。
先程からあまりに変わりすぎたアリスの人間関係に面食らい続け
魔理沙は若干疑心暗鬼になっていた。
ふと、魔理沙は思い出す。
かなり昔の怪奇異変の際に人づてに聞いた話ではあるが
幼少期のアリスは人形使いではなくネクロマンサー(屍術師)であったと。
となるとこのアリス二世はもしかして…。
「あっりすちゃーん!!あっそぼー!!」
外から誰かの叫ぶ声が聞こえる。
この声は魔理沙の記憶が正しければ死体運搬家で有名な火焔猫燐のものだ。
どうやら予測は当たったらしい。
燐は魔理沙の歳の女性は「お姉さん」と呼ぶ。
つまりちゃん付けで読んだのはアリスではなく二世の方だろう。
「ママ、おりんりんとドライブ行ってもいい?」
「お夕飯までに帰ってくるのよ」
「は~い!」
アリスと二世の会話は普通の親子の会話に聞こえる。
母性本能と言うやつだろうか。魔理沙はその会話に少しあこがれを抱いた。

二世が燐と一緒に出かけていったのを確認してから魔理沙はここへ来た目的でもある話を始めた。
「なあアリス、最近幻想郷で古代遺跡が発見されているのを知っているか?」
「古代遺跡?しらないわ」
「誰かの調べでは幻想郷が出来る前にこの土地に文明があったらしいんだ。
その文明の遺跡らしくてね、ほら」
魔理沙は懐から虹色に輝くペンダントのようなものを取り出した。
「ちょいと遺跡の一つから拝借してきたんだがどうだ?
蒐集家としての血が騒がないか?」
「騒がないわ」
きっぱりと断ったアリスに驚く魔理沙。
昔はこういうの見せたらすぐにでも魔理沙のよりすごいのを見つけようとやっ気になっていたのに。
「生憎だけど今は子育てとシャンの世話で忙しいの。
また今度暇になったら付き合ってあげるわ」
さらっと言うアリス。
「それにね、最近は野盗やら盗賊が出るからあまり外出したくないのよ」
「まあ確かによく出るがなー」
魔理沙は今朝絡んできた天狗の盗賊を消し炭にしたことを思い出す。
最近の幻想郷は変化が激しい。
しばらく様子を見て、落ち着いた時に出直してくるかな。
魔理沙はそう思いながら紅茶を飲み干す。
「邪魔したな、紅茶はうまかったぜ」
「じゃあまた」
簡潔な別れの挨拶をしてから魔理沙はアリスの家を出た。
終始驚かされっぱなしで調子が狂ったな。
そう思いながら魔理沙は箒にまたがり上昇した。
空は少し曇っていた。まるでモヤモヤとした魔理沙の心を表すかのように。

「あら、どうしたのよそんな暗い顔をして。魔理沙らしくないわね」
博麗神社に降り立った魔理沙は、開口一番霊夢にそう言われた。
「いや、なんか世の中変わっちまったな~って思ってさ」
魔理沙はアリスの家で起こったことを話した。
「この世の中に不変なものなんて無いのよ。
時が流れば皆が歳をとるし、誰かは結婚するかもしれない。
新しい妖怪が現れては異変を起こすかもしれないし、
その異変の中で新しい友人ができるかもしれない。
ちょっと変わったからってうろたえていたらきりがないわよ」
「ま、それもそうか」
神社の中で腰をおろす魔理沙。
霊夢の淹れた緑茶を飲みながら、魔理沙はふと机の上に置いてある文々。新聞を見た。
まだこの新聞をとってたのかと思いつつ手にとる。新聞には大量の折り込みチラシが入っていた。
「見てもいいわよ、大したものはないけど」
「ふ~ん、暇つぶしにはなるか」
パラパラとチラシを見ていく魔理沙。
外界から品物を取り寄せる運輸会社のチラシとか
最近できた銃を売る会社のチラシとかいろいろあったが魔理沙の興味をひくものはなかった。
「おん?もう話題になっているのか」
先程アリスに話した遺跡のことが載っているチラシだった。
内容はというと宝目当ての者が堀士となって腕自慢の護衛人を雇って遺跡の探掘をするという旨のビジネスを紹介するものだった。
こういう新しいものにとっついてみるのも悪くないかな。
魔理沙はそう思いながらチラシ群を机においた。
「すいませーん、参拝に来たんですけど~」
外から誰かの声が聞こえる。
「はーい今行きまーす。魔理沙、ごめんだけどちょっと参拝客が来たから待ってて」
「いや、もう帰るよ」
「そう?ならいいけど」
魔理沙は霊夢に別れをいい再び空を飛び始めた。
「博麗神社に参拝客が来る時代になったか…」
そう言いながらも、魔理沙は遺跡のことを考えていた。
世の中が変わっていっているのなら、その変化に乗ってやろうじゃないか。
魔理沙は笑顔で家に向かって飛び去っていった。

─終─
というわけでSS第一弾でした。
いろいろとおかしいところはあると思うけど文章自体書き慣れてないので多目に見てください。

以下コメント返信

>>中華三振さん
アリスが二人いるだけですハイ

>>ヨッシーさん
実はあれ以来一歩も進んでません

>>なめこ猫さん
ピクシブで見ましたよー
コミカライズ? うん、もっとやれ
いつか作る攻略本のおまけ漫画として掲載するという庵も思いついた
うひひ

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非公開コメント

No title

おいィ!?俺がコメント入れた直後じゃねぇか!!w


楽しく読ませていただきました~

シャン喋れたんだw
キューブのように鳴声(?)だけかとww

なるほど・・
ロリス登場はその手で解決させたわけですね
旧作の内容は詳しく知らんですが;

数々のフラグを立てつつ、ここから魔理沙が幻想編でどんな動きを見せるのか気になります(`・ω・´)

お疲れ様でした!製作のほうも頑張ってください!!


漫画許可ありがとうございます!ちょくちょく描いていこうと思います!!
オリジナルでセコンド的な立ち位置のだいちゃんを出したいのですが、物語の流れに支障は無いでしょうか・・;w

・・ところでmyu_sunさんは、前のコメント読んでくれたかな・・・;

No title

コメント失礼します。 
いつも楽しませてもらっています。

シャンちゃんと喋れたんですね。 
これは6編の後の話という事ですよね。
前記事のチャートを見る限り。 

シャンが可愛いわ強いわ、シャンが可愛かったです!
ロリスも出ましたか。 ビックリ。 
続きは予定あるのでしょうか?  期待です。
原始編も期待してますよ!  

No title

SSの方、非常に楽しめましたw
これから鬱展開を書こうって頃合だったんで、なお弾みがつきそうです。

> なめこ猫さん
コミカライズ? いいぞ、もっとやれw
小説の方は以下のような流れにする予定です。参考にして
ください。

①洞窟に閉じ込められるチルノ&大ちゃんペア。それを助ける高原。
 言い争いの後、一蹴されるチルノ。
②対戦相手の選出とトレーニング
→この辺は小説の便利屋、おでん屋さんを使用。チルノの性格だといきなり
  ラスボスに挑みかねないので、その辺を抑制しつつ初戦を森部戦に
  するように仕向ける感じで。
③森部戦
④以下の対戦順は動画準拠。
⑤ラストバトル。大ちゃんが人質に取られる予定。

バトル中心になるので、動画と同じくそれほど長くはならないかと。
他にも聞きたいことがありましたら、以下のアドレスに連絡くださいw

a_0330tayama@yahoo.co.jp

ではでは、今回はこの辺でw

No title

>myu_sunさん
ありがとうございますw

メールを送っておいたので、よろしくお願いします

No title

SSの方 楽しく読めました~
シャン喋れたんだ・・・可愛い・・・そして強い・・・今後が楽しみです~

制作結構大変みたいですね・・・がんばってくださいね!
首謀者

コーキー

Author:コーキー
ツクール歴約6年くらい
思えば遠くまで来たものだ
C#は二年くらいだけどね





アドレス
mahodenn◎
yahoo.co.jp
(◎を@に
変えてください)

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